物件情報の手入力1件40分を5分に短縮する不動産DXツール比較2026

午前10時、今日も始まる「入力地獄」

朝イチで届いたFAX3枚。昨日の内見で預かった物件資料が5件。営業担当が持ち帰ったマイソク(物件概要書)が2枚——。

事務担当のあなたは、SUUMOの管理画面を開き、所在地、賃料、管理費、間取り、築年数、設備……と1項目ずつ手入力を始める。1件終わるのに40分。次はHOME’S、その次はat home。同じ情報を、同じように、何度も打ち込む。

「今日中に10件お願いね」と営業から言われた瞬間、あなたの午後はすべて消える。

これは特殊な話ではない。不動産仲介会社の事務担当なら、誰もが経験している日常だ。

76.8%がDX未実施——不動産業界の「IT化20年遅れ」の実態

総務省「令和3年版 情報通信白書」によると、不動産業界でDXを「実施していない」と回答した企業は76.8%。23業種中ワースト7位という結果だった。

2021年1月、追い打ちをかける出来事が起きた。レインズ(不動産流通標準情報システム)のCSVダウンロード機能が廃止されたのだ。二次利用・不正利用防止が理由とされたが、これにより多くの不動産会社が物件データの一括取り込み手段を失った。

廃止から5年が経った2026年現在も、手入力に頼る会社は少なくない。

アットホーム株式会社の「不動産DXに関する実態調査2025」(2025年3月発表)では、半数以上の不動産会社がDXに着手したとされる一方、DXに取り組む予定がない会社の理由として「知識や経験の不足」が33.6%、「社内に人材がいない」「予算がかけられない」がそれぞれ3割以上を占めた。

つまり、やりたくてもやり方がわからないのが実情だ。

放置コスト試算——年間115万円が「入力作業」に消えている

具体的な数字で見てみよう。

  • 物件1件の手入力:40分(いえらぶCLOUD公式サイトより、業界平均20〜50分)
  • 月間取扱物件数:30件(従業員10名規模の仲介会社の場合)
  • 掲載ポータルサイト数:3サイト(SUUMO、HOME’S、at homeが一般的)

月間の入力工数:40分 × 30件 × 3サイト = 3,600分 = 60時間/月

事務スタッフの時給を1,600円とすると、月額96,000円、年間で約115万円が物件入力だけに消えている計算になる。

これは「人件費」だけの話だ。入力ミスによる掲載修正、営業機会の遅れ(物件情報の掲載が1日遅れれば、その間に他社で決まるリスクがある)まで含めれば、実質的な損失はさらに大きい。

解決アプローチ——物件入力自動化ツール5選を比較

レインズCSV廃止後、代替となるツールは大きく3カテゴリに分かれる。

カテゴリ1:ワンクリック転記型(RPA方式)

入力速いもん(株式会社iimon)

  • 方式:B2Bサイトの物件情報をワンクリックでCSV化し、ポータルサイトへ自動入力
  • 対応サイト:東日本・中部・近畿・西日本レインズ、SUUMO、HOME’S、at homeほか
  • 効果:1件あたりの入力時間を20分→5分に短縮(公式サイトより)
  • 価格:要問合せ(1ライセンス/月額制)
  • 特徴:Chrome拡張機能で導入が簡単。賃貸版・売買版あり

カテゴリ2:物件コンバーター型(一括入稿方式)

いえらぶCLOUD(株式会社いえらぶGROUP)

  • 方式:自社システムに1回入力すれば、20サイト以上のポータルに一括掲載
  • 効果:物件出稿時間を約20%削減。3媒体への入力が1回で完了
  • 価格:月額50,000円〜(プレミアムプラン)
  • 特徴:物件広告の採点機能、掲載イメージのプレビュー機能あり。導入社数15,000社以上

不動産コンバートR(レップ・ワン株式会社)

  • 方式:CSVまたは手動入力した物件データを複数ポータルに一括登録
  • 対応サイト:SUUMO、HOME’S、at home、Yahoo!不動産ほか
  • 価格:要問合せ
  • 特徴:賃貸・売買両対応。既存の自社システムとの連携が可能

カテゴリ3:AI-OCR型(画像認識方式)

フォレストPRO AI-OCR(株式会社オープンルーム)

  • 方式:物件資料(マイソク・図面)をアップロードするだけで、AIが所在地・賃料・間取り等を自動抽出
  • 効果:手入力45分→確認作業5分に短縮
  • 価格:要問合せ
  • 特徴:手書き・FAX・写真撮影した資料にも対応。不動産特化のAI-OCRエンジン

東京建物不動産販売×トランスコスモスのAI-OCR+生成AIソリューション

  • 方式:AI-OCRで物件資料をテキスト化→生成AIが必要項目を抽出・整理→地図情報も自動取得
  • 実績:2024年3月に構築を発表。不動産業界特有の帳票に対応したAI-OCRと、業界向けにチューニングした生成AIの組み合わせ
  • 特徴:大手向けの先行事例として注目度が高い

ツール比較まとめ

ツール名方式導入ハードル月額目安最適な会社規模
入力速いもんRPA転記低(Chrome拡張)要問合せ5〜20名
いえらぶCLOUD一括入稿中(システム導入)50,000円〜10〜50名
コンバートR一括入稿要問合せ10〜50名
フォレストPROAI-OCR低〜中要問合せ5〜30名

Before/After——導入企業のリアルな数字

東京都内で約5,000戸を管理する不動産会社の事例(いえらぶCLOUD公式ブログより):

指標導入前導入後
FAX物件の入力工数300時間/月30時間/月
入力担当者数3名1名
入力ミスによる修正対応週5件以上週1件未満

月270時間の削減は、時給1,600円換算で月額43万円、年間約520万円のコスト削減に相当する。浮いたリソースを営業活動や顧客対応に回せるインパクトは、数字以上に大きい。

明日からできる最初の一歩

「でも、うちはまだシステム導入するほどの規模じゃないし……」

そんな会社にこそ試してほしいのが、Chrome拡張型のツールを1つだけ入れてみることだ。

入力速いもんのようなChrome拡張型ツールは、既存の業務フローを変えずに導入できる。インストールして、いつも使っているB2Bサイトを開いて、ワンクリック。それだけで物件入力自動化の効果を体感できる。

無料トライアルを提供しているサービスも多い。まずは1週間、いつもの手入力と並行して使ってみる。それが不動産DXの最も確実な第一歩になる。

物件入力の自動化、あなたの会社ではどのくらい効果がありそうですか?

カイゼンタイムズでは、不動産業務のAI自動化ツールについての最新情報を継続的に発信しています。

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